引っ越しの１週間前ともなりますと、各種手続きや荷物の箱詰めなど雑多な作業に追われて、とても明け渡しの状態を良くすることまでは気がまわらないというのが実情でしょう。

 

引っ越しの時はエチケットの面だけではなく敷金にまつわるトラブルを防ぐ意味でも明け渡しの状態をよくする理由があります。

 

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によりますと、引っ越しで部屋を明け渡す際に通常使用の範囲内での劣化や汚れについての修理費や掃除費については基本的に貸主である大家さんが負担すると定められていますので、敷金から修理費や掃除費が差し引かれることはないはずなのです。

 

ところが、実際のところ敷金から修理費、掃除費、ハウスクリーニング代などという名目で差し引かれてしまい、結局敷金が戻ってこないというトラブルは発生しています。

 

貸主である大家さんも人間ですので通常使用の範囲内での劣化や汚れは自分たちで対応するとはいえ、あまりにも汚れていれば気持ちよく敷金をお返しする気分にはなりにくいでしょう。

 

実際に敷金が差し引かれ、その敷金の返還に不満がある場合は直接異議を申し立てたり、内容証明を提出したりといった法的手段に出る方法もありますが、やはりこういったトラブルは避けたいところです。

 

借りた側も貸した側もお互いが気持ちよく引っ越しができるように、もっとも忙しい引っ越しの時にこそお部屋の明け渡しには気を使いたいところです。